日曜日の朝のこと。湘南の海に香織達と行く日。朝からじりじりと肌が焼けるような暑さであった。
岬「お母さん、今日は海に行く日だからね。この前言ったでしょ」
母「岬、海もいいけど進路のことちゃんと考えなさいよ。あなた美容って言ってたけど本心なの??」
岬「・・・・・・・・・・・・そうだよ」
岬はまた、少し間を置き、本心ではない返事をしてしまう。
岬「行ってきます~」
ガラガラガラとドアの開ける音共に岬の少し浮足立った声が家に響いた。岬は何か
考えているかのような目で、一点を見上げ歩いて行ってしまった。
集合場所は3つほど先の駅であった。岬は電車にのりこんだ。椅子に座ると何かを考えていた。おもむろに携帯を取り出したかと思うと「美容」と検索を始めた。
そうした時であった。目の前の椅子から声が聞こえた。それは中学時代の友人のゆかりであった。
ゆかり「岬どうしたの、今日は?」
岬「今日は高校の友達と湘南の海に行くんだ。ゆかりは?」
ゆかり「私は塾だよ。もう毎日へとへとだよ。高校三年生にもなると勉強、勉強、勉強の毎日で。一体私にはいつ自由が来るのかって思うよ」
岬「ゆかりは進路は決めたの?」
ゆかり「私、昔から薬剤師になりたかったんだ~ だから今頑張らないといけないのもわかってるんだぁ」
岬「ゆかり、素敵だなぁ。自分の目標や夢をもっていて」
ゆかり「岬は進路はどうするの?」
岬「・・・・・・・・正直、ないんだぁ」
ゆかり「そっかぁ・・・ 何かないの」
岬「何かって言われても・・・・・・・・・」
話をしていると2つ目の駅に到着した。ゆかりは塾のためこの駅で降りて行った。
電車の窓の遠くを見て、自分の夢が言えないことへ悩む岬であった。
by natsu