岬は待ち合わせの駅まで残す1駅でおもむろに椅子から立ち上がり、ドアの前に立っていた。座っていられないというのが正しい心境であった。
待ち合わせの3つ目の駅に到着し、流れに身を任せホームに降りた時であった。香織の後ろ姿が見え、岬は声をかけた。
岬「香織~ おはよう」
香織「あっ岬~ おはよう。今日は楽しむわよ~」
岬「うん、みんな集まってるかな?」
香織「早くいこいこ」と香織が言い走り出した。それにつられ岬も走りだし、心が少し軽くなるよう感じがしたのである。
1日みんなが海で遊び疲れてきた頃であった。ちょうど夕日がきれいになる時間で海の遠くをみんなで眺めていた。
その時、香織がみんなに向かって
香織「ねぇみんなぁ。帰りにお好み焼き行かない」 と周囲に元気な声が響いた。
みんなが顔を見合わせるように「よ~し。行こう。楽しみ~」とみんなが声を上げた。
お好み焼き屋に到着し、ジュースで乾杯した。
みんなが各々に話をしている中、岬は少し浮かない顔をしており、香織が気付き声をかけた。
香織「岬、無理しなくていいからね」
岬「うん、大丈夫。」
岬「みんな、進路決まったかなぁ?」
香織「どうだろねぇ~・・・・・・ 岬は個別面談どうだったの?」
岬「ん~~、ついつい美容って言っちゃったよ」
香織「岬がやりたいことなの?」
岬はなかなか言葉が見つからなかった。香織の問いかけも、お好み焼きの匂いも、友達の声もすべて岬にはどこか違うものに感じていた。
今日の海での余韻もなく、岬は次の日曜日のことを考えていた。
続く
by natsu