連続ブログ小説 「光への願い」 第7話

夏も終わろうとする9月のことである。蝉の鳴き声から虫の鳴き声へ移り変わる夕方であった。まだまだ暑さは残り、

涼しいにはもう少し時間がかかりそうな日曜日であった。

 

岬はお母さんの元へ行き何か話したそうな仕草を見せた。父親は居間でTVを見ており、岬の声は届いていないかのように感じられた。

岬「お母さん。私とりあえずだけど大学に行く。何がしたいってまだ決まっていないけど。でもね、お母さん、お父さんが

言っていた自立した大人の意味が少しわかったような気がする。だから、大学で勉強して自分自身を見つめる時間にしたいの」

 

母「いいのよ。慌てなくて。お母さんだって、お父さんだってみんな同じだったわ。自分の夢や希望なんて決めるのは難しいの。

岬が少しでもお母さんたちが言っていたことを理解してくれて、勉強しようって思ってくれることが嬉しいの。ねっ、お父さん」

父「・・・・・・・・・・・・・・そうだな」 と短く答えるのみであった。

 

父親は聞こえていないかと岬は思っていたが、聞こえていたようだった。

父親が岬へ声をかけた

 

父「岬、慌てなくていいんだよ。みんな不安もあるし、何が正しいか分からない。迷うし。それでいいんだよ」

 

父親は短い言葉で岬に語り掛けた。母親の言葉と父親の言葉に岬は心底安心させられた。岬の脳裏にはきっと怒られる、

反対される、責められるという気持ちがいっぱいだった。靄が晴れるように岬の気持ちは晴れたのであった。

 

岬「お父さん、お母さん、ありがとう」

 と言い残し部屋に戻った。父親と母親は顔を見合わせ、驚きと安心した表情でお互いを見合った。

 

母「お父さん、いい娘に育ちましたね」

父「そうだな。いい娘だ」

 

続く

By natsu